医療現場での熱中症対策:多職種で取り組む患者さんの夏の健康管理

2025年07月14日 | 健康トピック

梅雨明けが例年より早く、今年は特に厳しい暑さが続いています。
医療現場では、熱中症患者の来院が増える季節となりました。

このような状況に、医療スタッフの皆さんも日々対応されていることと思います。

熱中症は予防が何より重要ですが、患者さん一人ひとりに十分な指導時間を確保するのは現実的に困難です。

この記事では、看護師さんや理学療法士さんなど医療スタッフの皆さんが、トレーナーと連携して効果的な熱中症予防と夏の健康管理を行う方法をご紹介します。

今年の夏、なぜ熱中症対策が重要なのか

2025年は異例の早い梅雨明けにより、身体が暑さに慣れる前に猛暑日が続いています。

気象庁の発表によると、今夏は平年以上の暑さが続くと予想されており、熱中症リスクは例年以上に高まっています。

特に注意が必要な患者さん

これらの患者さんは、体温調節機能が低下していたり、薬の影響で脱水しやすい状態にあります。

医療現場でできる効果的な熱中症予防指導

限られた時間の中でも、ポイントを絞った指導で患者さんの意識を変えることができます。

看護師さんができる予防指導

診察待ちの時間を活用

  • 水分補給のタイミング(「のどが渇く前に」)
  • 適切な服装(通気性の良い素材、帽子の着用)
  • 室内での過ごし方(エアコンの適切な使用)

簡単なチェックポイント

  • 尿の色で脱水状態をセルフチェック
  • 起床時の体重測定(前日比で急激な減少は脱水のサイン)

理学療法士さんができるアドバイス

リハビリ中の患者さんへ

  • 運動前後の水分補給の重要性
  • 運動強度の調整方法
  • 危険な症状の見分け方

退院後の運動継続指導

  • 暑い時間帯を避けた運動時間の提案
  • 室内でできる軽い運動の紹介

栄養士さんができるサポート

食事面からの熱中症予防

  • 水分を多く含む食材の紹介
  • 塩分と糖分のバランスを考えた食事
  • 食欲不振時の栄養補給方法

トレーナーとの連携で実現する包括的な夏季健康管理

医療スタッフの指導に加えて、トレーナーとの連携により、実践的で継続可能な熱中症対策が可能になります。

連携のメリット

医療スタッフ側のメリット

  • 患者さんへの詳細な運動指導時間の確保が不要
  • 専門的な運動プログラムによる効果的な体力向上
  • 患者さんの運動状況の定期的な報告を受けられる

患者さんのメリット

  • 個人の体調に合わせた安全な運動プログラム
  • 継続的なモチベーション維持
  • 医療機関との連携による安心感

実際の連携例

A内科クリニックの夏季対応

  • 週2回、トレーナーがクリニック内で運動指導
  • 室内での安全な運動プログラムを提供
  • 熱中症リスクの高い患者さんの優先的なケア

緊急時は即座に医療スタッフに連絡する体制を。

連携の具体的な流れ

  1. 医師が熱中症リスクの高い患者さんを選定
  2. 看護師が患者さんにトレーナー連携の説明
  3. トレーナーが夏季専用の運動プログラムを作成

週1回の簡潔な報告で状況を共有。

夏季特有のリスク管理ポイント

薬の影響を考慮した指導

利尿薬服用者

  • より頻繁な水分補給の必要性
  • 運動前後の体重チェック
  • 医師との定期的な相談の重要性

降圧薬服用者

  • 血圧の変動に注意
  • 急激な体位変換を避ける
  • めまいや立ちくらみの症状確認

高齢者特有の注意点

体温調節機能の低下

  • 暑さを感じにくい
  • 発汗機能の低下
  • のどの渇きを感じにくい

認知機能との関連

  • 水分補給を忘れがち
  • 適切な服装選択が困難
  • 症状の訴えが曖昧

すぐに始められる!夏季健康管理の連携体制づくり

ステップ1:院内での情報共有

  • 熱中症リスクの高い患者さんのリストアップ
  • スタッフ間での注意点の共有
  • 緊急時対応フローの確認

ステップ2:連携トレーナーの確保

  • 夏季対応に精通したトレーナーの選定
  • 室内運動プログラムの準備
  • 緊急時連絡体制の構築

ステップ3:患者さんへの説明

  • 夏季の運動リスクと対策の説明
  • トレーナー連携のメリット説明
  • 同意取得と開始

「最初は夏だけの期間限定で始めました。患者さんの反応が良く、現在は通年で連携を続けています」と、ある診療所の看護師長は語ります。

まとめ:患者さんの安全な夏を支えるために

今年の厳しい暑さに対して、医療現場だけで完璧な対応をするのは困難です。

そこでトレーナーとの連携により、患者さんの夏季健康管理を効果的に行いましょう。

重要なポイント

継続可能な支援体制の構築です。

暑い夏を安全に乗り切るために、新しい連携の形を検討してみませんか?

Doctor’s Fitnessでは、医療機関と連携した運動習慣定着プログラムを提供しています。
患者さんの継続的な健康管理をお考えの医療スタッフの皆様、お気軽にご相談ください。

【監修】宮脇 大(みやわき ひろし)
Doctor’s Fitness代表医師/循環器内科医
元大阪大学医学部附属病院/循環器内科(重症心不全・心臓移植)スタッフ
大阪府スマートヘルスプロジェクトアドバイザー

本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の個人の状態に対する医学的アドバイスではありません。連携モデルの導入にあたっては、各医療機関の方針や地域の状況に合わせて調整してください。

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