寒い時期こそ差がつく:クライアントの継続率を高める指導戦略

2025年11月10日 | 健康トピック

パーソナルトレーナーの高橋さん(仮名)は、
毎年この時期に同じ悩みを抱えていました。

気温が下がってくると、 クライアントの足が遠のく。

しかし、ベテラントレーナーの中には、
この時期でも高い継続率を維持している人がいます。

その違いは、 どこにあるのでしょうか。

寒さが離脱を引き起こすメカニズム

フィットネスクラブで10年のキャリアを持つ
トレーナーの森田さん(仮名)は、
離脱のパターンを よく理解していました。

クライアントの離脱理由を分析すると、
いくつかの要因が見えてきます。

物理的なハードル。

「寒い中、ジムまで行くのが億劫」という
単純だが強力な心理的障壁です。

体調不良の増加

風邪を引きやすい時期であり、
一度休むとそのまま来なくなることがあります。

モチベーションの低下

日照時間の減少により、
気分が沈みがちになる方もいます。

年末の忙しさ

仕事が忙しくなり、 優先順位が下がってしまいます。

森田さんが担当する中村さん(仮名・45歳男性)も、
まさにそのパターンでした。

9月から通い始め、
順調にトレーニングを
続けていた中村さん。

しかし10月後半から
「今日は寒いので」
「ちょっと風邪気味で」

と言ってはキャンセルが増え始めました。

森田さんは、 早めの対応が必要だと感じました。

離脱を防ぐプログラム設計

森田さんは、 中村さんに連絡を入れました。

責めるのではなく、 寄り添う姿勢での提案がポイントです。

寒い時期の離脱を防ぐには、
プログラムそのものを見直すのです。

セッション時間の柔軟化。

60分が厳しければ、
30分でも効果的な
プログラムを組みます。

頻度の調整

週2回が難しければ、
週1回+自宅トレーニングの
組み合わせに。

時間帯の見直し

朝の寒い時間を避け、
昼や夕方の予約を提案します。

オンライン指導の併用

悪天候の日は、オンライン
セッションに切り替えます。

森田さんは、中村さんの
プログラムを大きく変更しました。

ジムでのセッションは週1回30分。

残りは自宅でできる15分の
トレーニングメニュー。

この言葉に、 中村さんは安心した表情を見せました。

モチベーション管理の具体的手法

プログラムの調整だけでなく、
モチベーション管理も重要です。

トレーナーの小林さん(仮名)は、
寒い時期特有のモチベーション戦略を持っています。

意識が高まる夏に向けた体型づくりは、
遠すぎてモチベーションになりにくい。

そこで、より身近な目標を設定します。

年末年始を意識した目標

「忘年会シーズンを元気に乗り切る」
「お正月に体重を増やさない」
など。

健康診断を意識した目標

「次の健康診断で数値改善」
具体的な指標を設定します。

日常生活の改善目標

「階段を楽に上れるようになる」
「疲れにくくなる」
など、
実感しやすい変化に注目。

短期的な達成感の創出

月ごとの小さな目標を設定し、
達成感を積み重ねます。

小林さんが担当する佐藤さん(仮名・38歳女性)は、
「年末年始に備える」という目標設定で、
継続意欲を取り戻しました。

具体的でリアルな目標は、
強いモチベーションになります。

コミュニケーション戦略

寒い時期は、 通常以上にコミュニケーションが重要になります。

森田さんは、クライアントとの接触頻度を意識的に増やしています。

セッション後のフォローメッセージ。

予約前日のリマインド。

キャンセル後の声かけ。

定期的な近況確認。

「最近どうですか?」という カジュアルなメッセージ。

重要なのは「見守られている」安心感を与えること。

ただし、頻度が高すぎるとプレッシャーになることも。

週に1〜2回程度の、 軽いタッチでの連絡が効果的です。

また、LINEやメールだけでなく、
クライアントに合わせた
コミュニケーション方法を選ぶことも大切です。

自宅トレーニングのサポート体制

寒い時期に効果的なのが、
自宅トレーニングとの組み合わせです。

トレーナーの田口さん(仮名)は、
自宅トレーニングのサポートに力を入れています。

効果的な自宅トレーニングサポートには、
いくつかのポイントがあります。

シンプルなメニュー

器具不要で、誰でもできる
エクササイズを提案します。

動画での解説

文章だけでなく、短い動画で
正しいフォームを伝えます。

進捗の共有

「今日やりました」という報告を
気軽に送ってもらえる仕組み。

定期的な更新

同じメニューでは飽きるので、
2週間ごとに内容を少し変えます。

田口さんは、クライアントごとに
Googleドキュメントで
自宅トレーニングメニューを共有。

随時更新しています。

また、自宅トレーニングの実施状況を
次回のセッションで必ず確認します。

「できなかった」と責めるのではなく、
「どこが難しかったか」を聞き、
メニューを調整します。

医療連携による差別化

寒い時期は、 体調管理の重要性が増します。

医療機関との連携こそ
大きな強みになります。

森田さんのジムでは、
近隣のクリニックと
提携しています。

医療連携のメリットは、
いくつもあります。

安全性の担保

医師の意見を踏まえた
安全なトレーニングが提供できます。

クライアントの安心感

「医師と連携している」という事実が、
大きな安心材料になります。
専門的な対応で、血圧や血糖値など、
数値を意識したプログラム設計に。

医療機関からの紹介は、
新規クライアントが増える
可能性があります。

実際、森田さんのジムでは、
医療連携を始めてから、
継続率が 約20%向上したそうです。

冬を乗り越えた先の成功

中村さんは、 プログラム調整後も順調に継続しています。

この組み合わせが、
中村さんのライフスタイルに合っていました。

寒い時期を乗り越えられたクライアントは、
その後の継続率が高くなる傾向があります。

「一番つらい時期を一緒に乗り越えた」信頼関係が、
その後の長い付き合いにつながるのです。

森田さんは、 こう話します。

まとめ

寒い時期の継続率低下は、
多くのトレーナーが直面する課題です。

しかし、適切な対応によって、
この時期を「差をつけるチャンス」に
変えることもできます。

  • プログラムの柔軟な調整
  • 時期に合わせた目標設定
  • 密なコミュニケーション
  • 自宅トレーニングのサポート
  • そして、医療機関との連携

これらを組み合わせることで、
クライアントの継続をサポートし、
長期的な信頼関係が築けるのです。

寒い時期こそ、 トレーナーとしての力量が試される時。

この時期を乗り越えたクライアントとの絆は、その後の長い付き合いの基盤となるのです。

Doctor’s Fitnessでは、医療機関と連携した運動習慣定着プログラムを提供しています。
患者さんの継続的な健康管理をお考えの医療スタッフの皆様、お気軽にご相談ください。

【監修】宮脇 大(みやわき ひろし)
Doctor’s Fitness代表医師/循環器内科医
元大阪大学医学部附属病院/循環器内科(重症心不全・心臓移植)スタッフ
大阪府スマートヘルスプロジェクトアドバイザー

本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の個人の状態に対する医学的アドバイスではありません。連携モデルの導入にあたっては、各医療機関の方針や地域の状況に合わせて調整してください。

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