秋から始める運動指導:新規クライアントの獲得と定着率向上の戦略

2025年10月27日 | 健康トピック

パーソナルジムを経営する松本さん(仮名)は、 嬉しそうにそう話します。

実は秋、特に9月から10月にかけては、 フィットネス業界にとって重要な時期です。
なぜこの時期に運動を始める人が増えるのか。
そして、そのチャンスを どう活かせばよいのか。

トレーナーとしての戦略を 考えていきましょう。

秋に運動を始める人が増える理由

フィットネスクラブで働くトレーナーの 小林さん(仮名)は、10年以上のキャリアの中で、 ある法則に気づいていました。
9月後半から10月にかけて、 新規入会者が明らかに増加するのです。

小林さんの観察は、 データでも裏付けられています。

秋に運動を始める人が多い理由は、 いくつか考えられます。

気候の良さ

暑さも寒さも和らぎ、 運動に適した季節だからです。

健康診断の影響

多くの企業で秋に健康診断が実施され、 結果を受けて行動を起こす人が増えます。

年末への意識

「年内に何か変わりたい」という 心理的な動機が働きます。

夏の反省

「夏に間に合わなかった」という 後悔から、次の目標に向けて動き始めます。

イベントへの準備

年末年始のイベントに向けて、 体型を整えたいという動機もあります。

初心者クライアントへの効果的なアプローチ

秋に入会してきた中田さん(仮名・42歳男性)は、 典型的な「健康診断きっかけ組」でした。

小林さんは中田さんとの初回カウンセリングで、 いつも以上に時間をかけました。

  • 「運動経験は?」
  • 「これまで何か続けられたことは?」
  • 「どんなことなら楽しめそうですか?」

一つひとつ丁寧に聞き取ることで、 中田さんの性格や生活パターンが見えてきました。

初心者クライアントへのアプローチで 大切なのは、いくつかのポイントがあります。

ハードルを下げること

「週3回来てください」ではなく、 「まずは週1回から始めましょう」といった提案です。

成功体験を早期に

初回から「できた」という実感を 持ってもらうことが重要です。

具体的な目標設定

「痩せたい」ではなく、「階段を楽に上れるようになる」など、 日常生活に紐づいた目標を設定します。

不安の解消

「運動が苦手で…」という不安に対して、 丁寧に対応することが信頼につながります。

小林さんは、中田さんの初回トレーニングで、 あえて軽めのメニューを組みました。
「きつすぎませんでしたか?」と聞くと、 中田さんは意外そうに答えました。

この「続けられそう」という感覚を 持ってもらうことが、初回の最大の目標なのです。

医療機関との連携による信頼獲得

中田さんのケースで、 小林さんが特に意識したのが医療連携でした。

中田さんの同意を得て、 小林さんは主治医に運動プログラムの概要を伝えました。
医師からは、 「血糖値とコレステロールを考えると、有酸素運動を 中心にお願いします」というアドバイスをもらいました。

医療機関との連携は、 トレーナーにとって多くのメリットがあります。
専門的な指導ができることです。

疾患や薬の影響を考慮した 安全な運動指導が可能になります。

クライアントの安心感

「医師と連携している」という事実が、 クライアントに安心感を与えます。

差別化要因

医療連携は、他のジムやトレーナーとの 明確な差別化ポイントになります。

紹介の増加

医療機関から患者さんを 紹介してもらえる可能性が高まります。

実際、小林さんのジムでは、 医療連携を始めてから、医師や看護師からの 紹介が増えているそうです。

継続的な関係構築のポイント

中田さんは、 順調にトレーニングを継続していました。
週1回のジムトレーニングに加えて、 自宅でのウォーキングも習慣化しています。

小林さんが意識していたのは、 「3ヶ月の壁」を越えることでした。
多くのクライアントが、 2〜3ヶ月で離脱してしまいます。

この時期をどう乗り越えるか。
それが長期的な関係構築の鍵となります。

定期的な効果確認。

月に1回、体組成の測定や 体力テストを実施して、変化を可視化します。

目標の再設定

達成できたら新しい目標を、 難しければ現実的な目標に調整します。

コミュニケーションの継続

トレーニング日以外でも、LINEなどで 簡単なやり取りを続けます。

小さな変化の承認

「姿勢が良くなりましたね」など、 数値以外の変化も積極的に伝えます。

中田さんの場合、 3ヶ月後の健康診断で効果が表れました。

この成功体験が、 さらなる継続への強いモチベーションになりました。

冬に向けた継続戦略

10月から11月にかけては、 冬に向けた準備期間でもあります。
寒くなると、ジムから足が遠のく クライアントが増える傾向があります。

トレーナーの森田さん(仮名)は、 この時期特有の対策を用意しています。

冬に向けた継続戦略として、 いくつかのポイントがあります。

モチベーション管理

年末年始のイベントを目標に設定するなど、 具体的な動機づけを行います。

柔軟なスケジュール

年末の忙しい時期に合わせて、 予約変更に柔軟に対応します。

オンライン指導の併用

悪天候や多忙な時でも続けられるよう、 オンラインでの指導も準備します。

コミュニティの形成

同じ目標を持つクライアント同士を つなげることで、継続の動機を高めます。

トレーナーとしてのブランド構築

秋からの新規クライアント獲得は、 トレーナーとしてのブランドを築く絶好のチャンス。
小林さんは、 この1年で大きく成長しました。

医療機関との連携を深め、 クライアントの健康管理を総合的にサポートする。
そんなトレーナーを目指すことで、 小林さんのもとには徐々にクライアントが集まるようになりました。

口コミでの紹介も増え、 「医療と連携しているトレーナー」として、 地域での認知度も高まっています。

まとめ

秋は、トレーナーにとって 新規クライアント獲得の絶好の機会です。
気候の良さ、健康診断の時期、 年末への意識。

これらの要因が重なり、 運動を始めたい人が増える時期だからです。

  • 初心者クライアントには、 ハードルを下げ、早期に成功体験を提供する。
  • 医療機関と連携することで、専門性と信頼性を高める。
  • そして、3ヶ月の壁を越えるため、継続的なサポート体制を整える。

秋から冬にかけて、 クライアントとの強固な信頼関係を築き、 長期的な成功につなげていきませんか。

Doctor’s Fitnessでは、医療機関と連携した運動習慣定着プログラムを提供しています。
患者さんの継続的な健康管理をお考えの医療スタッフの皆様、お気軽にご相談ください。

【監修】宮脇 大(みやわき ひろし)
Doctor’s Fitness代表医師/循環器内科医
元大阪大学医学部附属病院/循環器内科(重症心不全・心臓移植)スタッフ
大阪府スマートヘルスプロジェクトアドバイザー

本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の個人の状態に対する医学的アドバイスではありません。連携モデルの導入にあたっては、各医療機関の方針や地域の状況に合わせて調整してください。

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