一人で完璧さを求めると、心は貧しくなる

2024.2.29

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弱いロボットに学ぶ助け合いの心

あなたは“弱いロボット”をご存じでしょうか?

一般的なロボットは、ミスや無駄が少なく、便りさを追及し、不完全さを克服しようとして作られた便利な機械というようなイメージがあるかもしれません。

しかし“弱いロボット”は苦手さや不完全を隠さず、あえて弱さを開示することで、周囲の人の優しさや強みを引き出すロボットとして注目を集めています。

このロボットは、誰かの助けを借りないと、タスクをこなすことが出来ません。




例えば、昔話などの読み聞かせをするロボットは、ストーリーの一部を忘れてしまいます。

桃太郎のお話をする際は、「おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ、どんぶらこ、と、えーと、何が流れてくるんだっけ…」と、肝心の部分を忘れます。

それを聞いている人が「桃だよ」と教えることで、「そうだ、桃だった」と思いだし、話がつむがれていきます。





ゴミ箱のロボットは、ヨタヨタと移動してゴミを見つけることが出来ます。

しかし、アームがなく、自分でゴミを拾うことは出来ません。

そのため、ゴミや落ちているものを見つけると、音を出して周囲の人に知らせます。

子どもたちの前にゴミ箱ロボットを持っていくと、「拾って欲しいのかな?じゃあ拾ってあげるね」と喜んでゴミを拾い集めます。

大人だって「しょうがないなぁ」と思いながら拾ってあげる。

ロボットは拾ってくれた人を見上げてちょっと会釈をします。




このように、弱いロボットとは、人がついつい手助けてあげたくなるような、そんな優しい心を育む一面があるロボットです。

人の優しや思いやりは、誰かの力となれることや支え合う関係の中で培われるものですので、弱さには非常に大切な役割があるのかもしれませんね。





一人で出来る完璧さを求めると苦しくなる


私達は、一人である程度何でもこなせること、人並みに出来るようになること、失敗を無くそうとすること、能力を向上させることなどを求めがちです。

完璧にはなれないと分かっていながら、それでもなるべく完璧であろとすることを目指してしまいます。

それが加速すると、どうなるでしょうか?




たいていは、「もっと出来ることを増やそう」「もっと正確に」「もっと早く」「もっとたくさんのことを」と、要求水準がどんどん高くなります。

そして、「自分一人で出来るようにならなくてはいけない」「上手く出来るようにならないといけない」と自分を追い詰めます。

弱みや苦手さがあることを恥だと感じるようになり、出来ない自分を「役立たず」とか「劣っている」と責め、自己の価値や評価を下げてしまいます。




さらに、こうしたことを求めていると、互いの強みと弱みを組み合わせる様な全体の協力体制は生まれにくくなりますよね。

なぜなら、自分だけでなく、他者に求める水準もどんどん高くなるからです。

そして、出来ないことがあったり、自分が思うように相手が上達していないと「何をしているんだ、ちゃんとやれ!」と苛立ちが高まり、相手に対して不寛容になります。

これこそが、優しさや寛容さを持てなくなった心の貧しさに繋がるのではないでしょうか。




弱さをさらけ出してもいい


「自分には何も出来ない」とやってみる前から弱音ばかりを吐き出すのは問題かもしれませんが、自分の弱さをさらけ出せることは、非常に重要なことです。

実際に弱さを隠さずさらけ出し、人々の寛容さを引き出した事例は社会の中にもあります。




東日本大震災の時の電力供給不足はそのひとつだと捉えられるでしょう。

この時、電力会社各社はその事実を隠さず、「でんき予報」として素直に公表しました。

そうすると市民は、「節電しよう」という意識が高まり、優しさや工夫を自ら実践しました。





認知症の人々がスタッフとして働くレストラン「注文をまちがえる料理店」もそうですね。

認知症であると明らかにすることで、寛容さや優しい心を引き出した好事例といえます。




これからの時代は、従来の価値観や能力重視の考え方が覆り、今まで以上の多様さを受け入れることが必要な時代になっていきます。

AIの台頭により人の仕事は大きく変わるでしょうし、日本は労働人口の減少によって外国人労働者の受け入れも拡大していかざるを得ません。

そうした中、「一人で何でもできる」という在り方は、通用しなくなっていくと考えられています。

自分の弱さをさらけ出すのが怖いという方は、まず何が自分にとって苦手なことや弱いと感じることが何なのかを見つめ直し、「それでいいよ」と自分で認めてあげられるようにしましょう。





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