なぜ(理由)ではなく、何のために(目的)を考えよう

2023.9.28

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「なぜ」と考えるとつらくなっていく

私達は、予期せぬ出来事が起こった時や、何か問題に感じることがあると、「なぜ」と考えてしまいがちです。

なぜこのような出来事が起こったのか

なぜ止められなかったのだろうか

なぜあんな行動をとったのか

なぜそのように考えるのか

なぜ出来ないのだろうか

なぜ失敗したのだろうか

なぜ、なぜ、なぜ・・・


この「なぜ」という問いかけは、過去の分析を行い、統計などのデータとして残す上では重要な視点かもしれません。



しかし、日常生活や対人関係において「なぜ」を追求していくと、人は自分や他者を責めるような思考に陥りがちになります。


「なぜ」に対して、「あれが悪かったのかもしれない」「あの時こうしておかなかったのが良くなかった」「あの人の対応が間違っていたからだ」などなど、原因探しに繋がるからです。




「なぜ」という言葉は、相手に説明を求めると同時に、責任の追及や反省を促す意味でも使われてきた言葉です。


ただ理由を聞いているだけだと言われても、「相手が理由を聞く意図はなんだろうか」、「何かいけないことをしたからこそ、説明を求められているのではないだろうか」と感じます。


そのため「なぜ」と聞かれると、緊張して委縮したり、責任を追及されていると感じ、防衛体制に入ろうとしてしまう人が多いのです。


実際に抑うつ状態になると、「なぜ」という思考に陥りやすいという指摘もあります。



また、「なぜ」の思考に陥ると、過去のことばかりに目が行くようになるため、過去に囚われた人生を送りやすくなってしまいます。

過去に囚われていると、今や未来は過去の延長線上にあるという考え方になりますので、全てを過去のせいにて生きていくことになります。


ですが、理由を過去に求めても、それは既に終わったことであり、今や未来の中に過去はありません。


そして、人はありのままに見て記憶することは出来ないので、過去を振り返る「なぜ」から導き出された理由は、自分の価値判断や記憶に歪められたモノでしかないのです。


『嫌われる勇気』などで有名な心理学者のアドラーは、こう述べています。


「原因が同じでも、全て同じ結果になるとは限らない。」

「過去の原因は“解釈”にはなっても、“解決”にはならない。私達が関心を持つのは、過去ではなく未来である。」

誰かのせいにするのを止め、過去に囚われない生き方を目指すのであれば、「なぜ」という思考を意識的にやめていくことが重要なのですね。




何のために起きたのかを考えてみる

全ての出来事には意味があると、昔からよく言われています。


もしそうであるならば、あなたがただの偶然と思っていたり、問題や何か良くないことと思っていることにも、何かしらの意味があるということになります。


過去に原因探しをして、その原因らしきものが見つかったとしても、誰かあるいは何かのせいにして終わるだけでは、あまり意味はありません。


仮に問題解決出来たとしても、それを問題と捉えているだけでは、ただの大変な出来事で終わってしまいますね。


ですが、もしもその出来事が、自分にとって何か気付きを与えたり、成長や学びにつながるための機会だったらと考えてみたらどうでしょう?


答えは分からなくても、目的を見つけていこうという視点に立てば、問題が問題だけで終わることはなくなります。


問題だったものが、チャンスやギフトに変わるからです。


例えば、子どもの不登校があるとしましょう。

「なぜ」と考えると、それは子どもの問題だとか、学校に責任があるのではないだろうかとか、親の育て方が悪いのではないだろうか等、原因という名の犯人探しが始まります。

では、この問題には、どのような意味や目的があると考えられるでしょうか?

家庭によって事情は異なりますのであくまで一例ですが、家族の関係性が悪かった場合、子どもの不登校という出来事は家族が互いに真剣に向き合う機会を得るために起こったのではないか、というような見方も出来るわけです。

その様に考えると、問題と思えていたものは意味を変え、ただの問題ではなくなりますよね。


問題やつらさのまっただ中にいる時に、こうした視点で見ることは、なかなか難しく感じるかもしれません。

しかし、絶対に正しい答えがあるわけでもありませんので、必ずしも答えを見つけようとしなくても良いのです。

今は分からなくても、「自分にとって何かを気付かせるために起きているんだな」と思うだけでもかまいません。

何事もこのように考えていくと、問題やつらさを乗り越える度に、自分や周りに対して”○○のおかげで気付けたことがある、成長できた”という気持ちを持てるようになります。

思わず「なぜ」と考えそうな場面はたくさんありますが、そのような時は「何のために」と切り替えてみるようにしてみましょう。




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