成果や効率性重視はメンタル不調のもと

2023.12.28

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成果や効率性を求めすぎて失うもの

かつての日本の学校や企業等の集団は、学業成績や労働の成果を上げるための場所というよりも、活動を通じて人間関係を構築し、人生における体験や学びを深める場所であったと言われています。

ところが近代は、効率性や生産性を重視し、成果を求める社会へと変わっていきました。

いたる所で、大量生産や分業化が進み、組織はどんどん縦割りにとなり、個々人の役割が細分化され、取り決められた仕事の内容を素早く真面目に一生懸命こなしていくことが求められるようになったのです。






そうした効率性や成果を出すことだけでなく、コミュニケーションを円滑にすることや、遣り甲斐・モチベーションの向上なども重視されているとは思います。


しかし、コミュニケーションやモチベーションの向上を促すその目的は、仕事の効率性を高め、成果をあげるために必要だからと考えられがちなのが実情です。




人間関係の構築や遣り甲斐を持つことは、過去には働く目的であったものでした。

それが、いつの間にか効率性をあげて成果を得ることが目的となり、人間関係の構築などは目的を果たすための手段にすり替わってきたと感じられます。



仕事を進める上での情報共有はしっかり行っても、成果に結びつかない会話は無駄話と判断され、共に働いている人達の内面や魅力を知る機会がほとんどないという声もよく耳にするようになりました。

リモートワークなどによる働き方の変化や、黙食の推奨、ハラスメントへの怖れなども、こうした風潮を助長させる要因なのかもしれませんね。



もちろん、成果や効率性を求めることがいけないわけではありませんし、大切なことでもあります。

しかし、そうしたことばかりを優先して考えるようになると、チームや一人ひとりの人が、成果や利益を生み出すための手段にすぎないとみなされてしまうこともあるのです。




あなただったら、自分を利益や成果を得るための手段として扱う企業と、そうでない企業、どちらで働きたいと思うでしょう?

多くの失敗もする中で、人間的な成長や、助け合うことを学ぶような環境ではなく、とにかく効率的に仕事をして、成果が出せなければ意味がないと考えるような環境で、活き活きと仕事が出来るでしょうか?

人となるべく関わらずコツコツ仕事をしたいという方や、自分の能力だけを評価して欲しい方もおりますので、どちらが正解というわけではありません。



しかし、それを望まない場合、効率性を重視し成果主義に傾くと、人は自分の居場所や集団に所属する意味、働く目的を見失いがちになります。

また、効率性をあげ成果を出すために自分の思いを我慢することも多くなると、メンタル不調や燃え尽き、離職が増加する要因になるので、注意が必要ですね。



効率的な成果重視の旅路がよいとは限らない

働き方を旅行に例えてみましょう。

効率性や成果を重視する旅行とは、どのようなものでしょうか。




まず、目的地へ辿り着くまでの最短ルート、コスパなどがしっかり計算し尽くされた上で、細かなルートが決定されます。

ふとどこかに立ち寄りたくなったとしても、計算されたルートの中に組み込まれていなければ、立ち寄ることは出来ないでしょう。

鈍行列車で周りの景色を楽しみながら旅するのではなく、新幹線や飛行機で一気に目的地まで辿り着くことが良しとされます。

コスパも重視するのであれば、普通車の自由席やエコノミークラスとなるかもですね。

目的地に到着してからも、予定された場所をいかに取りこぼしなく、決められた時間内に回れるかが重要です。


「ここが気に入ったから、もう少し遊んでいこうかな」なんてことは出来ません。

次なる目的地を目指すべく、きっちり時間通りに進みます。

そして帰りも、最短でコスパもよいルートや方法で、家路に着く旅行となります。

楽しめたかどうかよりも、いかに効率よくこの旅程を遂行できたか、予定していた目的地へ辿り着くという成果を得られたかが重要ということですね。



では、もしこれが人生の旅であればいかがでしょう。

人生の終着地点とも言える肉体的な死に向かって、いかに効率よく成果を残しながら向かうかを考えるとしたら、そこにはどんな楽しみがあるのでしょうか?

自分の好奇心に突き動かされるようなワクワクする経験や、気の向くままののんびり自由な時間、その時々で出会う人達との特に目的のないフランクなコミュニケーションもないまま、死へ向かう効率的な旅路を行くとしたら…。

そのように考えると、予定にはない一見無駄足に見えるような旅路の中で、自分の感情を動かすような多くの経験や出会いを重ね、それを味わいながら終着点に向かえることも魅力的に思えてきます。



もちろん仕事と人生をそのままイコールで語ることは出来ませんが、大半の人にとって仕事に費やす時間は多くの時間を占めるため、人生と無関係には語れませんね。

あなたの人生、どのような旅路を選ぶかはあなた次第ですが、自分がこれで良かったと思えるような旅路を進めますようにと願っております。






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