「他者と自分を比較しないようにしよう」という言葉をよく聞くと思います。
確かに、他者と自分を比較して優越感を抱いて人を見下したり、逆に劣等感を感じて自己評価を下げてしまうと、対人トラブルを引き起こしたり、生きづらさが強くなる可能性があります。
だからと言って、他者と比較しないようにしようと決意し、すぐに実践できたら苦労しませんよね。
比較してはいけないという意識が強すぎると、比較してしまった時に自分を責め、余計につらくなってしまう人もいます。
それでは本末転倒です。
そのため、そもそも比較するということはどのような行為だったのかを振り返った後で、比較をしてしまった時の対処法をお伝えしていきます。
比較するとはどういうこと?
人は一人では生きていけず、他者との関わりの中で生きる生き物です。
集団や社会に適応し、役割をこなして生きていくために、他者と比較するというのは自然なことでもあります。
そして、人は自分とは何かということを知りたがる生き物でもあるため、自分を他者と比較することによって、自分という存在を定義するような独自性を見つけ出そうとします。
そのように、自分の立ち位置を確認したり、独自性を見出したりするだけならば、比較は有効な手段だったとも言えるかもしれません。
しかし、私達が行う比較の多くは、その中に優劣や良し悪しという、価値判断や評価を含むようになっています。
価値判断を含むということは、純粋に違いがあるという単なる事実を歪ませて見ているということに他なりません。
違いがあることが、人として優れているとか劣っているということではありませんし、良いことでも悪いことでもなかったはずです。
社会の構造が変化する中で、点数やランク付けなどの差を与えられるようになると、競争は激化し、優れていると評価された自分にのみ価値をおくようになってきたのかもしれません。
私達が歪んだ比較を行うことで、単に違いがあるという事実を脚色してしまい、事実のまま受け取れなくなってきたことは、意識しておいてほしいポイントです!
単なる違いに優劣の差があると思い込んできた私達にとって、その差を取ることこそが、現代における悟り(差取り)に繋がるのかもしれません。
比較してしまった時の対処法
比較してしまった時、あなたは「比較してはいけない」と思っていなかったでしょうか?
それは、比較してしまう自分を否定することに繋がるため、さらなる苦しみのもとになることが多くあります。
そんな時にして欲しいことは2つです。
★ステップ1 比較してしまう自分を自分で許して受け入れる
意外に思われるかもしれませんが、意識的に受け入れるステップは非常に重要です。
様々な価値観や評価基準を教え込まれてきた私達にとって、優劣や良し悪しという歪んだ比較を手放すのは簡単ではないでしょう。
純粋な幼い子どもの頃から、「これが世界の絶対的な真実よ!」と言わんばかりに比較の価値観を刷り込まれ育ってきた私達は、自分が絶対だと思ってきたものを崩すことに恐怖や不安を覚えます。
それを崩すことは、自分の世界観が根底から揺らぐようなものだからです。
だからこそ無理やり変えようとするのではなく、まずは「そうか、そう思うんだね」と比較する自分を受けとめましょう。
ただし、「そうだよね、その通りだよ!」と同調はしないで下さい。
これでは歪んだ価値判断という比較の世界観にどっぷり自分から浸かりに行くようなものですから、余計に歪みを強化することになります。
ポイントは、肯定も否定もせず、自分の中にあるものをそのまま受け入れることです。
●ステップ2 比較して陥った思考や感情には何の意味もないと認める
ステップ1では、比較してしまうことを許し、受け入れることをしましたね。
ステップ2では、受け入れたものを、「実は何一つ意味がないことだけどね」と無効化していきます。
「どうぞ好きなだけ比較して下さい。何を思って感じても大丈夫ですよ。だって本当は何一つ意味がなく、真実でもありませんから、安心して比較なさって下さいね。」
上記の様に、比較する自分ごと、無効化するオブラートで包み込んであげるイメージです。
人は禁止されたことをしたくなったり、否定されると破壊的な行動に出る傾向があります。
また、自分が意味や価値を見出したものに執着しやすいことも特徴です。
そのため、優劣や良し悪しという価値判断に基づいた比較をする自分を、”否定しないという安心感”で包み、そんな自分が行っている比較に意味や価値を与えないという方法をとります。
最初は抵抗があるかもしれませんが、繰り返していくうちに、自分の価値判断に基づいた思考や感情に巻き込まれることが少なくなっていきます。
この方法は比較だけでなく、日常の様々な思考や感情に応用が可能です。
気になった方はぜひお試しください。
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