見せかけの優しさは不和のもと
あなたは率先して誰かを手伝ったり、相手の作業を先回りして熟すようなことはないでしょうか。
誰かのために自分の力を差し出せることは大切なことですが、そうした行為全般を優しさとはき違えてしまうことで、対人関係の不和を招くことがあります。
例えば、人に嫌われたくない
いい人に思われたい
自分の能力を誇示したい
自分の承認欲求を満たしたい
恩を着せておきたい
見返りがほしい
相手の能力的にどうせ出来ないだろうという決めつけ
このような思いがありながら、「相手のために」と行動することは、優しさではないということがお分かり頂けると思います。
自分の中にこうした思いがあることに気付かぬまま、「相手のために」と行動することが、人に不信感や不快感を与えたりすることがあります。
そうすると、おせっかいとなってしまうことが多く、相手の怒りを買ったりもしますね。
また、依存傾向がある人の依存性を高め、容赦なく依存対象とされてしまうこともあります。
そうなると、甘えさせてくれるのが当然とみなされてしまうため、相手の甘えはエスカレートします。
そして、その要求にあなた自身が疲弊し、非常にしんどい思いをすることになってしまうのです。
しかし、その甘えや要求に「NO」と言おうものなら、これまで自分の都合でおせっかいを焼いていた相手からの逆襲にあいます。
辛辣な言葉を投げかけられ、望まぬ形で関係性がこじれてしまうパターンが数多くあるのです。
これらのパターンは、第三者の視点で視るとおせっかいと分かることも多いのですが、良かれと思って行動している当事者にとっては、認めにくいことでもあります。
人を利用して優位に立とうとしたり、自分の欲求を人に満たしてもらおうという気持ちが後ろめたく感じられ、本人も本気で自分の優しさだと思い込んでいる場合が少なくないからです。
「自分のため」ではなく、あくまで「人のため」と思い込んでいるのですね。
そのため、第三者から「あまり首を突っ込まない方がいいよ」という助言されても受けとめきれず、中には「そんな冷たい人間になれない」と真顔で言う人もいます。
ここまで極端ではないにしても、人に嫌われたくないという思いから行動してしまうことは、多くの人が経験していることです。
それ自体がいけないわけではなく、自分のための行動であることを自覚できず人に押し付けてしまうことが、行き過ぎた行動の原因になります。
だからこそ、日々の自分の言動が、どのような思いによって出てきたものを、正直に見つめてあげることが大切なのですね。
人を信じる力を引き出そう
人に対し何もしない自分が冷たい人間になったようでつらいと感じてしまったり、自分が何とかしてあげないといけないと思うこともあるかもしれません。
そんな時に意識して頂きたいのは、あなたの思いが、相手の力を奪うことに繋がるかもしれないということです。
そもそも、人は誰しも、自分自身の力で成長し、選択していける力があります。
何度失敗を繰り返しても、どんな選択をしようとも、それはその人が自分で選ばなければなりません。
自分には難しいなと思ったら人にSOSを出したり、失敗を繰り返しながらも、自分なりに上手くいく方法を探したりすることが、成長のために必要な経験かもしれません。
あなたが、相手の先回りをして手助けしたり、良かれと思って肩代わりするようなことは、相手にとっての成長の機会や力を、邪魔しているだけなのかもしれないですよね。
そのようなことを繰り返していると、相手は自分で立ち上がる力を見失ってしまいます。
これは、幼い頃から周囲の人にレールを敷かれ、危険な障害物を全て取り除かれた環境で育った子どもが、大人になってから困難に直面した時、その困難に向き合うことが出来なくなってしまうのと同じです。
人は一人ひとり自分の生きる道があり、たとえどんなに近しい人でも、相手の人生を代わりに生きてあげることは出来ません。
そう考えると、本当に必要なことは、相手の問題や仕事を肩代わりすることではないということが見えてきますね。
相手の中にある力を信じ、相手の在り方を尊重して関わること、それこそが一番の優しさになることがあるのだと覚えておきましょう。
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