人は「してもらったこと」を忘れやすい
「自分は人の為にしてあげたことが沢山あるのに、人は私のために何もしてくれない」とか、「別の人ばかり優遇して、私には何もしてくれない」と不満に感じるようなことはないでしょうか?
職場でもそうですが、家庭の中でもこのような感覚に陥る人は沢山います。
そのように感じると、報われないと感じたり、惨めな気持ちになったり、イライラしたり、被害者意識のようなものを持つようになりがちです。
しかし、「自分は何もしてもらっていない」と感じることは、人間の記憶の仕組みが起こした誤作動という場合もあるかもしれません。
というのも、人は「してもらったこと」よりも、自分が人に「してあげたこと」の方が、圧倒的に記憶に残りやすいという特徴があるのです。
海外の研究によれば、その差はなんと35倍!
つまり、実際に何もしてもらっていないのではなく、おそらく記憶に残りにくかっただけということがあるのです。
なぜ、そのような差が生まれてしまうのでしょうか。
一説によると、人は何かをしてもらったことを「借りがある状態」と判断し、心の重荷とみなすようになります。
そのため、忘れることで心にかかる負担を軽くしようとしているのではないか、と言われています。
逆に、人のために何かをすることを「恩を売った状態」と判断し、よい事をしたと心地よくなるため、記憶に残りやすくなります。
もし本当であれば、人の記憶とは、私達が思ってる以上にご都合主義であやふやなものだと言えるでしょう。
それに加え、人からしてもらったことでも、自分がそれを求めていなかった場合や、何かしてもらっても、「当たり前のこと」というような評価をしていると、何かをしてもらったという認識そのものが生まれなかったり、ありがた迷惑で終わってしまうこともあります。
これらのような記憶や認識の問題が、あなたを報われない被害者へと駆り立て、苛立ちを増幅させている可能性があります。
「自分は人から何もしてもらえていない」と不満に思う時には、人間には誤作動を起こす記憶や認識の問題があることを意識し、一旦冷静にみるようにしましょう。
「してもらったこと」を思い出してみよう
私達は自分の記憶を絶対視しがちです。
しかし、自分でも気付かぬうちに記憶が改ざんされていたり、大事なことを思い出しにくかったりと、人間の脳には案外いい加減なところもあります。
そのことを知らぬまま、表面的な記憶や思考に流されるままに生きることで、様々な生きにくさが生まれます。
上記でお話のように、生まれた時から多くの「してもらったこと」があるにも関わらず、自分は何もしてもらえていないと感じると、自分自身の価値観や評価を下げてしまったり、人への感謝の気持ちを忘れやすくしてしまう事態を招きます。
そのため重要になるのは、意識的にこれまで自分が人にしてもらったことを思い出すことです。
思い出すことで、これまで多くの人に支えられて生きてきたことへの気付きや感謝、自分という存在の価値感や尊厳が思い出され、自分を受け入れられるようになることがあります。
例えば、親にはこんなことをしてもらいませんでしたか?
赤ちゃんの頃、朝でも夜でも、お腹が空いたらご飯をもらって、おしめも変えてもらった。
危ないことをしようとした時は、叱られるほど本気で引き留めてもらった。
つらいことがあった時は「どうしたの?」と心配してもらった。
誕生日に自分の好物を作ってもらった。
やりたい事を応援してもらった。
毎日ご飯を作ってもらった。
投げっぱなしにした鞄や靴下を片付けてもらった。
親以外にも、きょうだい、友人、恋人やパートナー、上司や部下、恩師や知人など、私達は生きる上で様々な人達との関わりの中で生きています。
その人達からしてもらったこと、それはどんな小さなことでもかまいません。
完璧さを求めなくても良いので、なるべく多くのしてもらったことを思い出すようにしてみましょう。
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