適材適所に必要なこと
企業や学校、その他様々な集団の中で、一つのまとまりとして機能するためには、各個人の能力や個性、得意・不得意さなどが上手くマッチしていく必要があります。
では、上手くマッチさせるためには、どのようにしたら良いのでしょう?
その場に適した人材となるように教育し、経験を積ませることでしょうか?
それとも、競争させて勝ちあがった優秀な人から好きな役割を選べるようにしたらよいのでしょうか?
もちろん、そうしたことが必要なときもあるでしょう。
ですが、より根本的なことを忘れてはいけません。
それは、人をよく知るということです。
人は皆が同じ性能を持つロボットではありませんので、それぞれ違いを持っています。
どのような能力や個性、得意・不得意があるのか、何に関心や興味があるのか、それらは当然人によって違いますね。
それらの違いを知ることなく、いくら教育を施し、経験を積ませてマッチするように仕向けても、長続きしなかったり、やる気や向上心を低下させてしまう結果につながりかねません。
子どもの頃を思い出してみましょう。
あなたは自分が苦手としていたり、興味のない分野の勉強をする時、もっと知りたいと思えたり、イキイキと積極的に取り組む事ができたでしょうか?
授業を真剣に受ける気が起きなかったり、テストで良い点数をとるためだけに漠然と勉強していたなんて人もいるのではないかと思います。
もちろん大人と子どもは異なりますが、心の仕組みは変わりません。
人は、自分が興味・関心を持てないことや、目的を見出せないことにイキイキと継続的に取り組むことは難しいものです。
だからこそ、適材適所を維持していくためには、単に能力やスキルだけでなく、人をより深く知る必要があります。
就職時の適性検査や自己分析シート等を活用して人を配置しているという企業や集団も多いと思いますが、そこから知れることはほんの僅かなものでしかありません。
そして、人のやりたい事や興味関心は移り変わるものであり、ずっと同じわけではありません。
そのため、日々のコミュニケーションを通して、人を知ろうとすることが必要になるのです。
誰にとっての適材適所なのだろうか
適材適所を考える時、「誰にとっての適材適所か」ということも、とても大切な視点になります。
本来は、個人や企業などの集団の相互にとっての適材適所が望まれるところですよね。
しかし、中には、企業や集団の運営側や采配を振るう人達から目線の、一方的な適材適所になっている可能性があることにも注意が必要です。
例えば、「英語の点数が一番良いから大学は外国語分野に進みなさい」と勝手に振り分けられたらどうでしょう。
本人がそれを望んでいる場合なら良いかもしれませんが、実は他に興味のある分野があった場合には、ただの強制になりかねません。
企業においても、本当は人事を担当したかった人に対し、人とのコミュニケーション能力が高く、積極性もあるため営業に配置しますとなったら、言われた人はどう思うでしょうか?
能力や特性だけで見たら適材適所と思えるかもしれませんが、相手の思いや興味関心といった点が無視されてしまえば、不満は高まります。
これらのような例では、本当の意味で適材適所とは言えません。
もちろん、全てを個人の希望に合わせたらいいという意味でもありません。
個人と集団が互いに対話をしていく中で、お互いの思いやビジョンを知り、みんなで考えていくことが必要だということです。
個人にとって、最初は気が進まないと思っていたことでも、集団側と対話を重ねて互いを知ることで、新たな興味関心が生まれたり、自身の目的と合致することに後から気付くこともあります。
そのため、一方向的ではなく、双方向にとっての適材適所が大切であるということを覚えておきましょう!
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