全ては起こるべくして起こる
にわかには信じられないかもしれませんが、「人には自由意志がほぼ存在せず、全ての物事は起こることがはじめから決まっていた」という仮説があります。
「そんな馬鹿な、私は何でも自分の意志で行動している」と思いますよね。
しかし、これは近年の心理学や脳科学の分野で明らかになりつつあることなのです。
これまでの研究によって、人が行動しようと意識をする前に、既に脳が行動しはじめていることが分かってきました。
つまり、人は意識してから行動するのではなく、脳が先に活動しはじめ、それを意識が後追いしているような状況にあると考えられるのです。
例えば、右手をあげるとしましょう。
私達は、右手をあげると意識したからこそ、脳が指令を出し、右手があがるのだと思っています。
けれども実際は、脳が右手をあげるための指令を出し、それに従う場合は右手をあげようと意識が生まれ、右手をあげるという順番だというのです。
もし私達の行動が、常にこのような流れで生じているのなら、過去にしてしまったことは全て、私達の自由意志のもとにとった行動ではなくなります。
すべては脳の指令に正しく従ったからこそ起きたこと。
つまり、「起こるべくして起きたこと」と考えられるのです。
もしもこれが真実ならば、あなたが過去にやらかしてしまったと自分を責めていることも、全て無意味なことになります。
何故なら、意識するより前に行動することが決められていたようなものですから、コントロールしようとする方が無理ということになりますよね。
ただし、ここで一つ注意です。
確かに私達は自由意志のもとに、自分で行動を起こすことは出来ないようですが、その行動をするかしないかの選択は出来るという報告もあります。
「全て決められているなら、何を考えたって無意味だ」と自暴自棄になるのではなく、自分がしようとしていることに気付き、その行動をするか・しないかを決めることが大切ということです。
そのためには、自分の今の状況に集中していることが求められます。
過去に囚われていたり、未来の不安や計画に気をとられていたら、今の自分に気付けませんよね?
だからこそ、「今この瞬間に意識を向けて生きる」という在り方が大切ということになるのです。
失敗は悪いことじゃない
上記のことを踏まえて言うならば、あなたが過去にしてしまったどんな失敗も、そうなるべくして「正しく失敗してきた」ということが言えます。
これは、いわゆるシナリオのようなものです。
それは、起こることは決まっていて、現実という物語世界が上手く進むために、その時自分に与えられた役目を全うして行動しただけ・・・という感じでしょうか。
分かりやすく、漫画の世界に例えてみましょう。
皆さんはドラえもんをご存じですよね。
そう、あの22世紀からやってきた、タヌキが・・じゃなかった、ネコ型ロボットです。
ドラえもんの設定は時代によって違うようですが、「2112年ドラえもん誕生」では、彼は製造過程で頭のネジが一本欠落した状態で出荷され、他のロボットの中では一人だけ落ちこぼれで、失敗だらけでした。
さらに、セワシ君(のび太の玄孫)のネズミ型ロボットに耳をかじられ、病院での医療ミスで耳を完全に失い、好きな猫のノラミャー子に大爆笑され、「元気の素」を飲むつもりが「悲劇の素」と間違ってしまい、3日3晩号泣して体のメッキがはがれ、声が枯れてしまいました。
何ともまぁ、悲劇的ですよね。
けれど、これがドラえもん誕生の重要なシナリオなわけです。
過去の悲劇的な出来事や様々な失敗も起こらず、ドラえもんが完璧で、他の優秀なロボットと同じだったら、今のドラえもんには出会えていません。
ドラえもんが今のドラえもんとなるためには、それぞれのキャラクターがシナリオに沿って、正しく自分の役を演じる必要があったわけです。
もちろん、現実と漫画を一緒に考えるのは適切ではないかもしれません。
しかし、確かなことは、私達には正しくモノゴトを判断したり、意味づけをするということが出来ないということです。
私達は千里眼でも、全知全能でもありません。
よって、過去や未来を見通せるわけでもなく、誰にとっても絶対に当てはまる正解なんてものも分かりません。
私達が下す判断というものは、何十億といる中のいち個人として、僅か数十年間の中で経験したことに基づいて下した、とてもちっぽけなモノ。
つまり、過去や今起こった出来事に対して、これは失敗だとか、良くない事だなんて思うことも、大きな目線でみた時にどんな意味があるのか、それは私達には分からないのです。
そのため、自分や他者の過去の失敗を責めることは、意味のないことだと思える視点をもつことが大切ですね。
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